h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

正常成人にみられたγ-鎖グロビン遺伝子の配列異常

DNAを制限酵素, Xmn I やBgl II で消化後,γ IVS II probeとhybridizationを行ったとき正常人にみられるDNAバンドのほかに大きなバンドを伴っている成人に遭遇した.末梢血液の血液学的,また化学的検査では異常は認められず,全ヘモグロビン中のHbF(%)やHb A2(%)もまた正常範囲内にあった.異常なDNAバンドは酵素分析によって調べられ,Gγ-AγGγ-AγまたはGγ-Gγ-Aγ型の三連鎖構造の存在によるものであった.この三連鎖構造を含むβ-鎖様遺伝子群のハプロタイプ,ε-遺伝子の5'Hinc II部位,(Gγ-遺伝子の5’Xmn I 部位,GγとAγ-遺伝子内のHind III部位,ψβ1-遺伝子内と3’ Hinc II 部位,β-遺伝子内のAva II部位とβ-遺伝子の3’Bam HI 部位が調べられ,+--(-)----+と決定した(カッコ内の-の記号は三連鎖構造遺伝子の第二遺伝子のHind IIIポリモフィズムの不在を示す).このハプロタイプから日本人によくみられる同種のハプロタイプ,+------+,をもった染色体間の不均等交差によってγ-鎖異常配列をもった染色体が生成したものと考えられた.
著者名
土井 和子,他
13
3
252-259
DOI
10.11482/KMJ-J13(3)252

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