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Online edition:ISSN 2758-089X

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Ca2+拮抗剤併用癌化学療法の基礎的検討 ― In vitro, In vivo における効果と解析-

Ca2+拮抗剤Verapamilを制癌剤,主として5-FU (その他ADM, VCR, BLM)と併用し,その抗腫瘍効果に及ぼす影響を,まず培養細胞を用いin vitro で検索,ついでこの成績にもとづきin vivo の実験として,担癌マウスに5-FUとVerapamilを連日併用投与し,survivalに及ぼす影響をも検討した.I. In vitro1. Verapamilは単独でも高濃度では増殖抑制がみられたが,5μM以下の低濃度ではほとんど影響しなかった.2.増殖に影響のない濃度のVerapamilを5-FUと併用すると,制癌剤が低濃度であるほどより大きい効果増強が認められた.3. 14C-5-FUを用いた細胞内取り込み実験では,14C-5-FUは細胞内へ経時的に移行するが,これにVerapamil 5μMを併用すると,無添加の14C-5-FU単独群に比べて,5-FUの移行は有意に高値となった.II. In vivo1. Verapamil単独では,大量を負荷しても抗腫瘍効果はみられなかった.2. 5-FU 5mg/kg とVerapamil 20mg/kg を併用すると,投与期間に関係なく併用効果を認め, 5-FU単独群に比べ有意の生存期間の延長を得,低濃度で併用効果のあることが判った.3. 5-FUとVerapamil 40mg/kg との併用は,併用にもとづく副作用が出現し, 5-FU単独投与群に比べ生存期間はかえって短縮した.以上より,5-FUにおいてもVerapamilとの併用効果が示されたが,その機序についてはいまだ不明な点が多い. 5-FUとVerapamilの併用は,投与方法や投与量の決定にはなお慎重を要すとしても,癌化学療法における効果増強の新しい可能性として期待される.
著者名
岩本 末治
13
3
266-278
DOI
10.11482/KMJ-J13(3)266

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