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Online edition:ISSN 2758-089X

ヒト培養腎細胞のプラスミノーゲンアクチベーター産生におよぼすインターフェロンの影響

ヒト培養細胞のプラスミノーゲンアクチベーター(PA)の産生におよぼすインターフェロン(IFN)の影響を調べた.実験には主にヒト腎癌細胞株ACHNを用い,この細胞で得られた成績を確認するために,ヒト膀胱癌細胞株EJ,ヒト線維芽細胞を培養内でCo-60ガンマ線を照射して発癌させたKMST-6を用いた. IFNはβ-IFN, r-IFN を使用した.細胞の増殖期とPA産生との関係をみると,対数増殖期の細胞が定常期に達した細胞よりPAを多く産生した.したがって,この対数増殖期の細胞のPA産生に対するIFNの影響を調べた.細胞をIFNで48-72時間処理した後の,培地中および細胞中PAを測定した.その結果,β-IFNはPA産生を約1.5倍高めた.しかし, r-IFNは, PAの産生に影響を与えなかった.一方,このPA産生に及ぼす影響を調べた濃度のβ-およびr-IFNは,細胞の増殖を約40%抑制した.PA (urokinase type)は正常なヒト腎細胞で産生されている.このPA産生が腎細胞の一分化機能に関係したものであれば, IFNの作用のーつとして細胞の分化機能の発現を調節している可能性もある.
著者名
唐井 万智子
12
2
132-139
DOI
10.11482/KMJ-J12(2)132

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