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低出生体重児栄養における乳汁蛋白質の種類とその効果に関する研究 ―蛋白質の量と質をかえた6種類の人工乳と凍結人乳で哺育された低出生体重児の血漿アミノ酸濃度および尿中排泄アミノ酸量について―

乳汁蛋白質の質や量の違いが低出生体重児の血漿および尿中の遊離アミノ酸にいかなる影響を及ぼすかについて検討する目的で,6種類の人工乳(A乳:蛋白質1.60 g/dl, ホエー蛋白質0.35 g/dl, カゼイン1.25 g/dl ; B 乳:1.60 g/dl, 0.96 g/dl, 0. 64 g/dl ; C 乳:1.85 g/dl, 0.41 g/dl, 1.44 g/dl ; D 乳:1.85 g/dl, 1.11 g/dl, 0.74 g/dl ; E 乳:2.19 g/dl, 0 .61 g/dl, 1. 58 g/dl ; F乳:2.19 g/dl, 1.31 g/ dl, 0.88 g/dl)と凍結人乳で低出生体重児56名(各群8名ずつ)を哺育し,血漿遊離アミノ酸濃度および尿中排泄遊離アミノ酸量を比較測定し,次の結果をえた.1) Thrは血漿濃度と尿中排泄量いずれも高ホエー蛋白質乳哺育のB, D, F 3群がそれぞれ対応する高カゼイン乳哺育のA, C, E 3群より有意に高値であった.これはThr摂取量の反映であると解した.2) Lys, Phe, Tyrの血漿濃度はC,E両群がD,F両群より高値であったが,この差はLysのE,F両群聞においてのみ有意であった.これは低出生体重児ではこれらアミノ酸代謝が高カゼイン乳哺育において高ホエー蛋白質乳哺育より円滑に進まないことにあるが,本研究は体重が成熟児に近い2,500 g 前後であったので,代謝がある程度成熟し,有意差がみられなくなったのであろう.3) Tauは血漿濃度と尿中排泄量のどちらも凍結人乳哺育のG群がC, D, E 3群より有意に高値であったが,F群との間では差がなかった.人工乳群間の血漿濃度は, D,F両群が対応のC,E両群より高値を示し,高ホエー蛋白質乳哺育では含硫アミノ酸代謝の円滑な進行が示唆された.4)人工乳哺育群では上記以外のアミノ酸はほとんどが血漿濃度と尿中排泄量のどちらもアミノ酸代謝の違いというより,むしろ,摂取アミノ酸量を反映するように思われた.5)G群ではほとんどの必須アミノ酸とCys,Tyrの血漿濃度が人工乳哺育群より低値であった.6)尿中排泄量はほとんどのアミノ酸が血漿濃度を反映した.以上,低出生体重児の人工栄養ではアミノ酸代謝の面でも高ホエー蛋白質乳のほうが優れており,また, 1,600 g 以上の対象児の限りでは凍結人乳による哺育も可能であった.
著者名
小淵 聖子
12
2
140-151
DOI
10.11482/KMJ-J12(2)140

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