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Online edition:ISSN 2758-089X

気管支喘息におけるシクレソニド(HFA-CIC)の末梢気道病変に対する治療効果の検討

 近年,気管支喘息における気道炎症の場として末梢気道が注目されている.今回,粒子径が小さい吸入ステロイド薬の末梢気道病変に対する有用性を検討する目的で,シクレソニド投与前後におけるQOL 及び肺機能の変化について比較検討した.中用量以上の吸入ステロイド薬(DPI 製剤)を使用しても呼吸機能検査において末梢気道の閉塞所見が残存する中等症の気管支喘息患者の中で同意が得られた10例(男性5例,女性5例,平均年齢72歳)を対象とした.4週間の観察期間の後,吸入ステロイド薬を粒子径の小さなHFA-CIC に変更し,12週間使用した.薬剤変更前と12週後にQOL に関するアンケート調査,呼吸機能検査を行い比較検討した.HFA-CIC 吸入によりQOL が有意に向上した.HFA-CIC 吸入により1秒量には変化を認めなかったが,Vdot50が有意に上昇した.HFA-CIC の使用中に明らかな副作用は認めなかった.粒子径の小さな吸入ステロイド薬(MDI製剤)を使用することにより末梢気道の閉塞所見が改善し,QOL の向上が認められた.症例ごとに適した吸入ステロイド薬を用いることにより治療効果の向上が期待できると考えられた.(平成22年12月13日受理)
著者名
加藤 茂樹,内田 善仁
37
1
15-18
DOI
10.11482/Kawasaki_igakkai_shi37(1)15-18,2011.pdf

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