h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

t_toukou

In Vitroにおけるヒト癌細胞と線維芽細胞の相互作用によるコラーゲン合成と増生

担癌体における癌細胞と癌間質細胞によるcollagen増生が最近極めて注目されている.そこで癌細胞と宿主間質細胞の相互作用を明らかにする目的で,ヒト線維芽細胞とヒト株化癌細胞(肺腺癌由来HLC-1,胃未分化癌由来HGC-27,肺中等度分化型腺癌由来PC-3)を用い, in vitro での実験を行い検討した.両細胞を混合培養しcollagen増殖の形態学的観察および細胞増殖を検索した.他方,癌細胞培養後のconditioned mediumを用いて線維芽細胞を培養し,細胞増殖ならびにcollagen合成におよほす影響を検索した.また癌細胞自身のcollagen合成能をも測定した. 両細胞を混合培養した結果, collagenの増生を観察し,単独培養と比較して両細胞とも増殖が促進された.癌細胞培養後のconditioned medium を用いた実験では,線維芽細胞の増殖に対してほとんど影響をおよぼさなかったが, HGC-27とPC-3のconditionedmediumはcollagen合成を促進した.更に癌細胞自身のcollagen合成能を測定した結果, HLC-1, PC-3, HGC-27のすべての癌細胞にcollagen合成能を認め,特にHLC-1の合成能は線維芽細胞の合成能に匹敵するほど高値であったが,合成された[3H]hydroxyprolineの大部分は細胞内に局在していた. したがって癌間質のcollagenは主として線維芽細胞および癌細胞の両者によって増生され,両細胞の相互作用によって増殖促進が起こると考えられる.しかしこれらの絶対量や両者の比率は癌細胞の種類により異なり,担癌体におけるcollagen増生の所見はそれぞれの癌細胞により異なるものと考えられる.
著者名
大久保 茂樹
11
3
334-346
DOI
10.11482/KMJ-J11(3)334

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