h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

7人の日本人に見られた中性―中性アミノ酸置換を起した異常血色素, Hb Owari[α121 (H4) Val→Met]

 1.新しく,発見された異常血色素Hb Owari は等電点分画法でHbFとHbAの間に分画され,その含量は12.7-19.0 %を示した. 2.発見されたHb Owari の保因者は合計7名であり,末梢血液検査はすべて正常であった. 3. Hb Owari の不安定性試験は陰性であった. 4. Hb Owari の異常鎖はセルロースアセテート膜電気泳動で検出されないが,ヘモグロビン組成からα鎖にアミノ酸置換が起っていることが予想された(αx). 5.αx鎖のトリプシン消化物の可溶・不溶性成分ペプチドのアミノ酸組成が調べられた.不溶性成分のキモトリプシン消化物のフィンガープリントに異常ペプチドスポットが現われ,そのアミノ酸分析からa 121 Val→Metの置換が示された. 6. Hb Owari は酸素解離曲線の測定から正常な機能を有するものと考えられた.
著者名
原野 恵子, 他
11
3
347-354
DOI
10.11482/KMJ-J11(3)347

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