特発性ヘモクロマトーシスの1例 特発性ヘモクロマトーシスの一例を報告した.患者は72歳,女性で,皮膚の色素沈着を主訴に来院した.顔面および手背は強い色素沈着がみられ青灰褐色であった.血清鉄は213μg/dl, TIBCは245μg/dlトランスフェリン飽和率87%であった.血清フェリチンも2100 ng/ml と増加がみられた.肝CTにてびまん性の高吸収域を示しCT値は65 H.u.であった.患者は2年7ヵ月の経過後,黄疸の出現,αフェトプロティン5100 ng/ml と増加,血糖の増加等がみられ,肝不全にて死亡した.死後穿針により,肝実質細胞の著明な鉄沈着と肝硬変症が証明された.