h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

ヒト型アデノウイルス2型μ蛋白前駆体の同定とその存在意義

ヒト型アデノウイルス2型のクロマチンを構成する4種類の蛋白の1つ,μ蛋白の前駆体の存在について調べた.感染後期のKB細胞よりoligo (dT)セルロースカラムクロマトグラフィーによりpoly(A+)mRNAを精製し, rabbit reticulocyte lysate やwheat germ extractの無細胞アミノ酸導入系に35S-メチオニン,3H-アルギニンを用い同定を試みた.得られた標識蛋白質の解析からμ蛋白前駆体は,分子量約8,000 Daltonであり該当するmRNA画分はおよそ10Sであった.その存在意義をウイルスの増殖・成熟の過程から考えると,ウイルスクロマチンのsupersolenoid構造の形成と維持またウイルス粒子前駆体であるempty shellへのDNA充填の促進であると考えている.
著者名
崔 哲洵
11
1
66-74
DOI
10.11482/KMJ-J11(1)66

b_download