Online edition:ISSN 2758-089X
膝蓋大腿関節の力学的研究 第1報:光弾性モデル実験
膝蓋大腿関節に加わる荷重量が膝の屈曲及び内反変形に従ってどのように変化するかを知るために,二次元・三次元光弾性実験を行った.そして正常膝蓋大腿関節に生じる応力と,変形性膝蓋大腿関節症および膝内反変形を伴う変形性膝関節症の膝蓋大腿関節に生じる応力を比較検討し,これら関節症の成因や内反変形膝に伴う脛骨の回旋について,膝蓋大腿関節に加わる接触圧から考察を加えた.また膝蓋大腿関節症に対する代表的な手術であるMaquet手術(脛骨粗面浮上術)の静力学的効果と問題点などについて論じた.1)正常膝蓋大腿関節には膝関節30゜屈曲位で内外関節面に等しい接触圧が生じるが,60゜・90゜と屈曲角度が増すにつれ外側関節面に大きな接触圧が生じる.2)大腿と下腿のアライメントが正常であれば,膝蓋大腿関節の外側面に大きな接触圧が生じ外側関節面の障害が生じやすく,内反変形膝では内側面に大きな接触圧が生じ内側関節面の障害を生じやすい.3)内反変形膝は膝蓋骨の内側関節面の変性をきたしやすいことから,脛骨の内旋を伴うと考えると力学的に理解しやすい.4) Maquet手術は1cmの浮上でも静力学的に充分な減圧効果があり,特に日常生活で使用頻度の多い膝屈曲30°-60°の範囲で効果が大きい.
- 著者名
- 赤司 浩二郎
- 巻
- 11
- 号
- 1
- 頁
- 75-89
- DOI
- 10.11482/KMJ-J11(1)75