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Online edition:ISSN 2758-089X

実験的左室機能低下心におけるPESP(postextrasystolic potentiation)の段階別変動に関する研究-臨床例への応用の可能性-

左室機能低下例に対して内科的および外科的治療を行う際,心予備能を正確に評価することは,極めて重要なことである.陽性変力作用を主とする期外収縮後増強現象(PESP)を用いて,左室機能低下例における心予備能の評価が可能か否かを実験的に検討した.対象は雑種成犬15頭で,左冠動脈主幹部より50μのマイクロスフェアを注入し,同一例においてコントロール状態を含めて4段階の左室機能低下状態を作製し,段階別に血行動態諸指標におよぼすPESPの効果を検討した.等容収縮期の指標および駆出期の指標におよぼすPESPの%変化率は,中等度左室機能低下状態までは各段階毎に有意に増大したが,高度低下状態では中等度低下状態に比し低反応を示した.左室収縮時間(特にPEP)におよぼすPESPの変化は,左室max dp/dt の変化とproportionalに変動し,両者間にはr= ―0.66の相関を認めた.以上の成績より,安全かつ反復して検査可能な心機図法より得られる左室収縮時間を用いたPESPの効果に対する検討は、左室機能低下例における心予備能評価に対して有用と考えられた.
著者名
中尾 正俊
11
1
90-103
DOI
10.11482/KMJ-J11(1)90

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