h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

「微小終板電位頻度の自動計測装置」

伝達物質の素量的放出の電気的表現である微小終板電位(MEPP)の頻度を自動計測するカウンタを製作した.細胞内電極で記録したMEPPは,神経インパルスに比べてその時間経過が長く,またその大きさが一定でない.さらに不応期がないため,いくつかのMEPPが加重して波形が複雑になる.したがって通常のスパイクカウンタでは,正確なMEPP頻度の測定は困難である.そこで次のような特徴を持つカウンタを考案した.(1)微分回路によってMEPPよりも時間経過の遅い電位変化を除去し,かつ個々のMEPPの電位変化を急峻にする.これによってMEPP計数の際妨害となる種々のノイズをかなり除くことができる. (2)種々の振幅のMEPPや加重した個々のMEPPを確実に計数するために,コンパレ一夕を4個並列に連結し,種々のレベルの電位変化を検出する. (3)各コンパレ一夕出力の立ち上がり及び立ち下がりエッジによってフリップ・フロップ回路の出力をon及びoffにし, 1個のMEPPを1組のon・off出力に対応させる. (4)この出力をカウンタ回路で計数する.以上の回路構成により,少ない誤差で約100/秒までのMEPP頻度を測定することができ,本装置がMEPP頻度を対象にした広範囲の実験に有用であることが明らかになった.
著者名
成田 和彦
10
1
62-69
DOI
10.11482/KMJ-J10(1)62

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