h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

短縮にともなう骨格筋収縮能の変化

骨格筋が短縮するとその収縮能が低下する,あるいは,短縮の制限されるときは収縮能が増大し延長する,という特性を説明するために,短縮中の筋に新たな負荷を急激に加えたときの負荷維持能力およびその後の短縮速度を測定した.等張力性強縮の短縮しつつある筋に追加の負荷を急に加えると,その筋は一たん引き伸ばされた後,再び新しい負荷のもとで短縮する.もし,負荷の増加が短縮の初期になされるならば,この負荷の増加にともなう伸展は小さいけれども,負荷の増加が短縮の後期にあたる減速期になされるときは,伸展は増大される.負荷の増加分と伸展量との比は,これは短縮しつつある筋の剛度に相当し負荷維持能力を示す値であるが,短縮が進むにつれて減少し,また,負荷の増量分が増すにつれて減少する.負荷が与えられて一たん伸ばされた後,筋は再び短縮するときの短縮速度は,通常の等張力性短縮の速度よりも小さい.短縮したことによる収縮能力の減退が,一度もとの長さに引き伸ばされた後もなお数百msecの間残存していることが示唆される.
著者名
松木 吉継,他
10
2
127-133
DOI
10.11482/KMJ-J10(2)127

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