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正常人と片麻痺患者における背筋伸張反射の比較 -体位・頭位・筋層の影響-

正常者30例,右片麻痺20例,左片麻痺20例について,第1 ・第2腰椎棘突起間を電磁ハンマーにて叩打することにより第1 ・第3腰椎の左右両側背筋から伸張反射を誘発して筋電図に記録し,その潜時,閾値,振幅の比較と体位・頭位・筋層の影響について検討を加え体幹筋の動態を明らかにすることを試みた.1.片麻痺群は,正常群と比較して背筋伸張反射の潜時は短く,閾値は大きく,振幅は小さい測定値を得た.ただし,表面電極誘導のLlレベル腹臥位, L3レベル背臥位における振幅は,左片麻痺群が大きい.片麻痺群間の比較では,表面電極誘導において,左片麻痺群は,右片麻痺群と比較し,背筋伸張反射の潜時は短く,閾値は小さく,振幅は大きい.針電極誘導では,レベルと筋層により測定値が異なり,振幅については,浅層で右片麻痺群,深層で左片麻痺群が大きい.2.体位の影響を振幅についてみると,正常群では,右側の背筋に見られLlレベルでは背臥位, L3レベルでは腹臥位で亢進し,片麻痺群では,右側の背筋では腹臥位,左側の背筋では背臥位で亢進した.3.頭位の影響を振幅について見ると,正常群では,頭位より抑制され,深層筋では左向きで右側の背筋,右向きで左側の背筋の抑制が見られた.片麻痺群では,深層筋において,右向きで右側の背筋の亢進,左向きで左側の背筋の抑制を認めた.4.筋層の影響を振幅について見ると,正常群では, L3レベル両側の背筋で浅層にて亢進を認め,片麻痺群では,右側の背筋において右片麻痺群では浅層で亢進し,左片麻痺群では深層で亢進を認めた.以上の結果より,背筋と四肢筋の中枢制御機構はかなり異なるものであり,その因子として,背筋と四肢筋の筋線維構成とその機能の差によるものも考えられる.また,背筋伸張反射は,麻痺側に関係なく緊張性迷路反射,緊張性頸反射の影響を受けていると考えられ,これも四肢筋と背筋の中枢制御機構の違いを示唆するものと思われた.今回の実験では,筋層については,特に左側の背筋の脊柱起立における械能の重要性を示すものと考えられる.
著者名
伊勢 眞樹
10
2
134-148
DOI
10.11482/KMJ-J10(2)134

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