Online edition:ISSN 2758-089X
Na+-K+-ATPase活性に及ぼすPCMBの効果
グルタチオンの酸化に適切な薬物であるP-chloromercuribenzoic acid (PCMB)を10-4Mで作用させ Tyrode's solutionで5時間培養後のブタ水晶体のNa+-K+-ATPase活性,Na+/K+ratio, ATP含量並びにグルタチオンについて測定した.結果は次のとおりである.1) 10-4M PCMBを作用させた場合,インキュベーション5時間後にはNa+/K+ratioは0.21から0.67まで上昇した.2)ブタ水晶体のNa+-K+-ATPase活性は牛水晶体のそれに比べて高く,両者の間には明らかに有意差が認められた(p<0.1%).3) 10-4M PCMBを5時間作用させると,ブタ水晶体のNa+-K+-ATPase活性は36%抑制された.4) 10-4M PCMBを5時間作用させると,ブタ水晶体のGSH含量は16%抑制された.5) 10-4M PCMBを5時間作用させると,ブタ水晶体のATP含量は6%抑制され,一方ADP含量は27%抑制された.
- 著者名
- 錦織 敏治,他
- 巻
- 10
- 号
- 2
- 頁
- 159-164
- DOI
- 10.11482/KMJ-J10(2)159