両側前大脳動脈灌流域の梗塞をきたした下垂体卒中の1剖検例 両側前大脳動脈灌流域の梗塞をきたした比較的まれな下垂体卒中の1剖検例を報告し,文献的考察を加えた. 症例は81歳男性で,死亡14日前に突然,頭痛,唱吐,意識障害で発症した. CTではトルコ鞍部に円形の高吸収域を認めた.剖検上,くも膜下出血を伴う嫌色素性下垂体腺腫出血,両側前大脳動脈灌流域の梗塞を認めた.本例における脳梗塞は下垂体腺腫出血により腫瘍が急速に増大し,両側前大脳動脈を圧迫したためと考えられた.