h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

低出生体重児における筋原線維蛋白質代謝に関する研究

低出生体重児の筋原線維蛋白質代謝を検討する目的で,低出生体重児31名(AFD群16名, SFD群15名)を,出生後1-2日, 6-7日, 2週, 3週, 4週の5回,経時的に24時間尿を蓄尿採取し,尿中排泄3-methylhistidine (3MH)とcreatinine (Cr)量を測定した.その結果, (1)低出生体重児の尿中排泄3MH量を比較検討する際の単位基準は,当kg体重量, Cr比どちらでもよいが,後者のほうがやや優れていた.(2)尿中排泄3MHの当kg体重量, Cr比はいずれも4週においてSFD群がAFD群より高値であったが,その差は有意でなかった.(3) AFD, SFD各群内の経時的変化の比較では両測定値ともAFD群は各年齢間に有意差がなかったが, SFD群では4週において6-7日と2週より, Cr比においてそれぞれ高値であった.(4)低出生体重児では生後3週から4週の筋原線維蛋白質異化率はAFD, SFD両群とも成人値の3. 3倍であった.以上,成長の盛んな低出生体重児では筋原線維蛋白質のターンオーバーが成人より活発であり,また, SFD児は子宮内発育遅滞からの回復が生後4週頃に活発さを増すことが判明した.
著者名
高木 研
10
3
322-331
DOI
10.11482/KMJ-J10(3)322

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