腸管ベーチェット病の 2 例 右下腹部痛を主訴とする腸管型ベーチェット病の2例を報告した.共に眼症状を欠く不全型のベーチェット病であった.消化管X線検査で多発性の回盲部潰瘍を認めた.第1例は61歳男性で多発性潰癌を外科的に,第2例は51歳女性で内科的に治療した.共にステロイド投与がなされていたが,回盲部潰瘍は組織学的にあるいは文献的にステロイド潰瘍ではないと推論した.腸管型ベーチェット病の治療として穿孔例では緊急手術が第一次的である.内科的治療としてはコルヒチン,サラゾスルファピリジンなどが有効であるとされているが,ステロイド投与の可否については賛否両論がある.腸管型ベーチェット病は生命予後の点で重要である.