局所肝虚血による変化について 肝臓の虚血に対する耐容性を知るために,雑種成犬13頭を用いて, 30分, 60分の肝虚血をPringle法にて作製し,以下の結果を得た. 1) 30分虚血群では,血流再開後8時間まで6頭全例生存したのに対し, 60分虚血群では7頭中1頭が生存したのみであった. 2)血清化学検査では,血流再開後, 30分虚血群ではS-GOT, S-GPT, LDH, Al-Pの上昇は比較的軽度であったが, 60分虚血群では著明な上昇が見られた. 3)組織像では, 30分虚血群においては少数の肝細胞壊死,類壊死が認められたが, 60分虚血群では多量の肝細胞壊死を認めたものまで種々の程度の組織像が見られた.以上より,雑種成犬における肝虚血の耐容時間は30分から60分の間と考えられた.