h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

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霊長類の手の動脈系の研究 ―ニホンザルの手における動脈造影写真の立体的解析―

ニホンザルの手の血管造影を行い,立体的解析により詳細な観察結果を,系統発生学的観点より検討した. 1)背側中手動脈は4本存在し,第1,第2,第3は橈骨動脈に第4は尺骨動脈に由来した. 2)第2背側中手動脈は,第2中手骨間で,近位および遠位貫通枝を分枝し,深掌動脈弓(鎖)形成の主幹であった. 3)背側手根網は,橈骨,尺骨動脈そして前骨間動脈より形成され,各背側中手動脈への血行関与は認められなかった. 4)近位貫通枝は,近位掌側動脈鎖と深掌弓,遠位貫通枝は,遠位掌側動脈鎖の計3本の深掌動脈弓(鎖)を形成し,形態的変化は3型に分類された. 5)深掌弓と遠位掌側動脈鎖との間に掌側中手動脈を,近位および遠位掌側動脈鎖の間に中手骨間動脈を形成する一定の規則性を有していた. 6)尺骨神経深枝は, 3本の深掌動脈弓(鎖)の内,深掌弓の走行に一致していた. 7)母指掌側には第1総指動脈,背側には第1背側中手動脈に由来する背側尺側,背側橈側動脈が走行していた. 8)ヒトの手で,サルでみられる太い第2背側中手動脈が残存し,かつ,近位貫通枝を有し,第1背側中手動脈が,深掌動脈弓形成の主管となるようなヒトとサルの形態を有する移行型を認めた.
著者名
宇川 明徳
9
1
1-14
DOI
10.11482/KMJ-J9(1)1

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