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Online edition:ISSN 2758-089X

赤血球/血漿Iithium比(lithium index)の臨床的研究

lithium治療中の57例の血漿,赤血球Iithium濃度および赤血球/血漿Iithium比すなわちIithium indexを測定し,その臨床的意義を考察した. 1)正常健常人である男性において血漿,赤血球Iithium濃度およびIithium indexの経時的変化を調べた. lithium indexが安定するために約7日間を要し,また投薬量の変更によってもIithium indexは変化しなかった. 2) lithium indexの性差では,男性29.6±8.4%,女性39.6±11.8%と女性に有意に高くなった. (p<0.05) 3)急性期における治療効果判定とIithium indexについては,有効群36.6±9.5%無効群27.9±10.1%と有効群に高い傾向がみられた. (p<0.10) 4) lithium予防効果とIithium indexの間には有意の相関は認められなかった. 5)副作用出現頻度とIithium indexの間にも有意の相関は認められなかった. 6)本研究の対象患者中特に高いIithium indexの症例の中には,中毒症状の出現した躁うつ病1例,全身性紅斑性狼瘡の精神症状として発病しsteroidを使用している1例,喘息を併発し steroidを使用している躁うつ病1例,脳腫瘍の精神症状として発病した1例などの症例がみられた.これら症状器質精神病でIithium indexが上昇している事実は,脳へのIithiumとり込みが増加していることを推定させる.
著者名
河田 隆介
9
1
15-25
DOI
10.11482/KMJ-J9(1)15

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