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Online edition:ISSN 2758-089X

胎生期の腸重積による回腸閉鎖症について その一症例と発生機序

出生直後,肛門から白色の索状物を排泄した先天性回腸閉鎖症の一例を報告した.開腹すると回腸の閉鎖部の末梢側盲端内にポリープ様隆起物を有し,組織学的検討で白色索状物は壊死になっているが二重構造を示していた.そして盲端部のポリープ様隆起物は粘膜,粘膜筋板,固有筋層が回腸壁から移行してきており,その先端部は壊死となっている.以上の所見よりこの症例は胎生期に腸重積症が発症し,内筒が壊死となり,その大部分は脱落して肛門から排泄され,一部は末梢側盲端内にポリープ様隆起物として残存したものと考えられた.さらに胎生期腸重積症から腸閉鎖症への発生機序について仮説を立てた.
著者名
西本 隆重, 他
9
1
73-77
DOI
10.11482/KMJ-J9(1)73

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