Online edition:ISSN 2758-089X
ヒト赤血球へのlithiumとり込みにおよぼす向精神薬の効果
ヒト赤血球へのIithiumとり込みに及ぼす各種向精神薬の影響をin vitroにおいて検討した. phenothiazine誘導体であるperphenazine, chlorpromazine, thioridazineとiminodibenzyl系化合物である carpipramineにlithium indexを上昇させる作用が認められた. indexの上昇率はperphenazine, carpipramine, chlorpromazine,thioridazineの順で,もっとも高いperphenazineにおいて10-4モル濃度でcontrolの7倍に達した.一方, butyrophenone誘導体であるhaloperidol,三環抗うつ剤であるamitriptyline, imipramine, indol誘導体であるoxypertine, benzodiazepine誘導体であるdiazepamにはlithium indexを上昇させる作用はみられなかった.以上のことからlithiumと向精神薬の併用がlithium中毒発現の機序の一因となり得ることを考察した.
- 著者名
- 河田 隆介
- 巻
- 9
- 号
- 2
- 頁
- 95-102
- DOI
- 10.11482/KMJ-J9(2)95