h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

正常および角化異常症における角層の生化学的分析

正常及び種々の角化異常症より得た角層をケラチン線維,可溶性成分ならびに角質細胞膜及び膜間物質の3画分に分け SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)をケラチン線維画分と可溶性画分に,アミノ酸分析をケラチン線維と膜及び膜間物質画分に施行した. ケラチン線維画分のSDS-PAGEは正常人で分子量1:73,000 2:69,000 3:62,000 4:55,000 5:53,000 6:49,000 7:47,000の7本のバンドが認められ,尋常性乾癬の1例で第1, 2番目の減少が認められた.また尋常性乾癬に対するレチノイド(Ro10-9359,etretmate)投与で第2番目の増加と第3番目以下の減少が認められた. 可溶性画分のSDS-PAGEは正常人で分子量15,000のバンドが認められた.角化異常症で特記すべき異常所見は認められなかった. アミノ酸分析においては特に膜及び膜間物質画分で角化異常症に様々な変化が認められた.尋常性乾癬,毛孔性紅色粃糠疹でプロリンの減少を認めた.掌蹠角化症,非水疱型魚鱗様紅皮症,遺伝性半透明丘疹末端角化症で1/2シスチンの増加が認められ,前2着ではプロリンの著しい増加を認めた.また尋常性乾癬に対するレチノイド投与により1/2シスチン,プロリン,グリシンの増加が認められた.
著者名
旗持 淳, 他
9
3
259-267
DOI
10.11482/KMJ-J9(3)259

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