Online edition:ISSN 2758-089X
大腸癌におけるPB/KOH/PAS染色の意義
Periodate borohydride/potassium hydroxide/periodic acid-Schiff (PB/KOH/ PAS)染色を種々の腺癌組織に応用し,大腸癌同定におけるその有用性について検討した.PB/KOH/PAS染色は,糖鎖の非還元末端に位置するsialic acidの種類を組織化学的に識別できる方法で, O-acylated sialic acidを多量に含む大腸粘液をほほ特異的に染め出すことが可能である.盲腸部腺癌では78%に,結腸癌では35%に,直腸癌では33%に陽性であったが,未分化になればなるほど陰性となることが多かった.偽陽性例として,卵巣癌10例中1例の癌細胞内および胃癌11例中1例に管腔内粘液陽性を認めた.これらの結果より,本法は陰性例,偽陽性例も多少みられることを考慮に入れれば,大腸癌同定の補助手段としてある程度まで利用できるといえると考えた.また,粘液についても一般的に概説を加えた.
- 著者名
- 山成 憲子, 他
- 巻
- 9
- 号
- 3
- 頁
- 268-276
- DOI
- 10.11482/KMJ-J9(3)268