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Online edition:ISSN 2758-089X

Double pylorusの1例と本邦例の文献的考察

症例は68歳の男性である. 1年6カ月前にも内視鏡検査を施行したがboudle pylorusがすでに存在していたにもかかわらず,これを指摘し得なかった.今回,内視鏡検査にて,変形した幽門輪の前壁側にfistulaと考えられる開口を認めた.そこでポリエチレンカテーテルを開口部に挿入し,色素内視鏡診断用の0.2%インジゴカルミン溶液をカテーテルを通し注入した. 0.2% インジゴカルミン溶液は幽門を逆流して胃内へ流入した.十二指腸球部は変形し多発する十二指腸潰瘍瘢痕,十二指腸炎,胃潰瘍も認められた.これらの所見は, 2次的に形成されたdouble pylorusと診断しうることを示唆していると思われた. 本邦では, 1982年までに本例を含めると18例の報告があるが,このうち14例は,小彎側に交通が認められている.
著者名
篠原 昭博, 他
9
3
295-299
DOI
10.11482/KMJ-J9(3)295

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