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Online edition:ISSN 2758-089X

突然死を来たした心アミロイド症の一例

労作時息切れと下腿浮腫を主訴に入院した66歳男性患者が,心電図上著明な左軸偏位,1度房室ブロックおよびV1~V3のQSパターンを,また心エコー図で心室中隔肥厚が特に高度な非対称性肥厚を呈した.脳卒中発作と肺炎を併発し,治療に抵抗する心不全の状態かつづいたが臨床経過は安定していたところ,原因不明の突然死を来たしたため剖検した.心臓は620gと腫大し,洞房および房室結節を含み,左右各心房心室壁の内膜下より心筋にかけ,間質血管・結合織を中心に高度なアミロイド沈着を広範に認めた.冠動脈は中等大以下が主に侵され,剖検心の造影でそれらの狭小化が示唆された.そのほか全身系統的に血管中心性のアミロイド沈着がみられ,小巣状気管支肺炎,右大脳硬塞等を伴っていたが,それらは直接死因とは考えられなかった.したがって急性心臓死が直接死因と考えられ,それはアミロイド沈着による伝導系の1次的・ 2次的障害に関連したブロックまたは不整脈に起因したものと推定した.
著者名
三島 崇輝, 他
9
3
300-309
DOI
10.11482/KMJ-J9(3)300

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