多発性硬化症患者の赤血球膜動態 -サポニンに対する赤血球膜のfragility- 多発性硬化症患者8例(急性期4例,慢性期4例)およびその他若干の神経疾患においてサポニンテストを行い次の結果を得た. 1.急性期4例ではいずれもTO.5endの著明な短縮を認め,慢性期4例ではほほ正常パターンを示した.急性期4例中3例で症状寛解期に再検し,正常パターンとなった. 2.急性期ウイルス性脊髄炎2例および球後視神経炎2例は正常パターンを呈した. 3.筋緊張性ジストロフィー症3例で,多発性硬化症急性期例と同様のパターンを認めた. 以上の結果より,多発性硬化症急性期例ではサポニンに対する赤血球膜のfragility充進を認め,病勢に一致して赤血球膜動態が変化し得ることが示唆された.