h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

脳血管障害の頭部超音波治療

かつて強すぎる超音波を使用して,脳の神経細胞の変性壊死を招いたため,その後,頭部の超音波治療は禁忌とされていた.しかしわれわれの動物実験によって,周波数0.8MHz,効率1.25W/㎠の超音波の移動法による, 1日1回20分間,連続10日間の照射では,ウサギの脳細胞には損傷を認めなかった. さらに100名の脳梗塞患者を無作為に50名ずつ2群に分け, 1群は内科的な薬物療法のみを行った群,他の群は頭部超音波治療のみを行った群とした.超音波治療群では, 1~3日間の加療で50名中20名に治療効果があり,薬物治療群では50名中6名しか効果が認められず,両群で統計学的に有意な差があった. (x2=8.7838, p<0.05).治療開始後20日目では,超音波治療群では18名が著効に対し薬物治療群では4名が著効であり,両者で統計学的に有意の差がみられた. (x2=9.8485, p<0.05). 今回の研究から,超音波照射は脳梗塞の有効な治療法である事が明らかになった.
著者名
郎 鴻 志
9
4
363-370
DOI
10.11482/KMJ-J9(4)363

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