
Online edition:ISSN 2758-089X
ラット肺からのtype II cellの単離法
Type II cell内で産生されるsurfactantの分析を行うためには,純度の高いtype II cell群を得なければならない.我々はラット肺を用いて,純度の高いtype II cellの単離法を検討した. 方法は大別して, I)血液・肺胞内脱落細胞の除去, II)上皮細胞の剥離, III) type II cellの単離の三段階に分けられる.III)において Ficollによる比重遠心(比重1,070)のみで得られたtype II cellの純度は50.6%であり,他の報告と比べ低い値であった. ナイロンメッシュカラムと比重遠心を併用する方法では,純度は75.6±8.0%に上昇した. またナイロンメッシュカラムを用いることにより, surfactant分析時に障害となるmacrophageの混入を30.8%から1.5%に下げることができた.さらに比重液をアラビアゴムに変え,同様の操作を行うと,純度76.6土1.1%, typeIIcell収穫数24.5±26.8×105個/2匹, viability 69.3±6.8%を得た. 以上により,上皮細胞を剥離後,ナイロンメッシュカラムを通し,さらにアラビアゴム比重液で分離する方法が最良と考えられた.
- 著者名
- 山成 憲子, 他
- 巻
- 8
- 号
- 2
- 頁
- 101-107
- DOI
- 10.11482/KMJ-J8(2)101
