h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

激烈な胸痛を主訴とした胸膜肺炎3症例の検討

臨床症状,胸部Ⅹ線像,臨床経過の極めて類似した胸膜肺炎の3例を報告した.症例は37歳, 50歳, 52歳の男子で,いずれも発症前は健康で,突然の胸痛,発熱,咳嗽で発症しており,喀痰は少なく膿性でなかった.胸部Ⅹ線像では,比較的均等な浸潤影と胸水および胸膜の肥厚像が特徴的であった. 3例とも胸水の穿刺排液は困難であり,少量の滲出液を認めたのみで,症例1のみ培養でPeptococcusが認められた.いずれも臨床経過は類似しており,抗菌剤投与により1~2週間の経過で改善した. これら3症例の検討により,以下のことを考えた; 1)突然の激烈な胸痛をきたす疾患として胸膜肺炎が存在する. 2) 1年3カ月の間に,このような胸膜肺炎を引き続いて3例経験しており,最近増加している可能性がある, 3)病因を確定することはできなかったが,異なった病因により類似の病態が引き起こされた可能性もあり,今後このような症例に対しては,宿主側および病原側の両方からの詳細な検索が必要である.
著者名
原 宏紀, 他
8
2
179-185
DOI
10.11482/KMJ-J8(2)179

b_download