成人の食道気管支瘻の2例 成人における非腫瘍性食道気管支瘻の2例を経験したので,症例報告と文献的考察を行なった.第1例は51歳女性で,約10年前より咳嗽,喀痰,発熱をくり返し,約3年前よりこれら愁訴が増強した.食道造影により食道気管支瘻と診断され,瘻切除術および右肺下葉切除術を施行後,病理組織学的に先天性食道気道瘻と診断された.術後40日目で軽快退院した. 第2例は46歳男性で,作業中転落し,下顎骨骨折,頭蓋骨骨折および胸部打撲をきたした.これら外傷はいったん軽快したが,時々噴嚥下性肺炎様症状を呈し再入院した.食道・気管支造影により外傷性食道気管支瘻が最も疑われた.栄養胃瘻造設が行なわれたが,術後第2週(受傷後7カ月)目に誤嚥のため死亡したため,瘻切除術は施行されなかった.