開腹術後の腸管運動に関与する因子 ―術後腸運動改善に対する臨床的研究― 胃癌に対して定型的胃切除術を受けた患者94症例を対象として,術後の腸管運動とそれに関与すると思われる因子について比較検討し,次の結果を得た. 1.年齢が長ずるほど排ガス時間は延長し,年齢と排ガス時間には正の相関が存在した. 2.男性は女性に比べて有意に排ガス時間は短かった. 3.手術時間が長くなるほど排ガス時間は延長し,明らかな正の相関が認められた. 4.術後腸管麻痺の良好な快復を得るためにはSerum protein 6.1g/dl以上, Albumin 3.1g/dl以上に保つべきである. 5. Albuminの術前からの減少幅が小さいほど術後の腸管運動は保持される.