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Online edition:ISSN 2758-089X

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腸音の発生機序と腸管運動について

1902年にCannonが腸音の数量的測定を試みて以来,腸音の重要性が指摘されてきた.しかしながら,腸管運動そのものが,腹腔内でのみ良く保たれるという限られた条件があるため,腸管筋電図,腸管内圧,腸音の相互関係を同時に記録,観察することは困難であり,今日までこれに成功したという報告はなく,これが基本的な腸音の解析が遅れた原因と考えられる.本研究では,特殊な腸音専用の実験箱を考案し,初めて腸管運動における上記3者を同時に測定記録し,これらの相互関係を生理学的に実証することに成功した.この腸音専用実験箱(Naito, Endo, Shimotomaiの共同研究により考案された実験箱,以後NES型実験箱と略す)は,径13.0cm,高さ4.0cm,厚さ0.5cmで上蓋中央に厚さ0.2mm,径3.5cmの塩化ビニール製の腸音導出用の窓があり,これにTK211 S型マイクロフォンが装着してある.筋電図用の導線は,箱の両側から外に導かれる.内腔は保温と乾燥防止の目的で流動パラフィンを充満する.この実験箱を家兎の腹壁に密着固定する.新しいNES型実験箱による経時的観察の結果,腸音は単に腸管の嬬動運動や腸管内ガスの存在では発生せず,これに腸管の内圧変動が加わって発生することが判明した.さらに,腸音の基本となる単位音は腸音の生理的屈曲による内圧変動によって発生し,連続音は,非生理的腸管狭窄によって起こる内圧変動から発生することがわかった.
著者名
遠藤 正三郎, 他
8
3
258-265
DOI
10.11482/KMJ-J8(3)258

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