Online edition:ISSN 2758-089X
実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE) ―特に慢性再発型EAEの経時的病理学的観察と末梢血Tリンパ球の変動について―
幼若Hartley系モルモットを使用し慢性再発型実験的アレルギー性脳脊髄炎(EAE)を発生させ,経時的に病理像の変化と末梢血Tリンパ球の変動を観察した. 症候学的に慢性再発型EAEの発生が60%に認められた. 病理学的には主に脊髄に多くの脱髄巣が認められた.特に慢性再発型EAEでは新旧の脱髄巣が認められた.しかしながら1年以上の長期生存した慢性再発型EAEでは新しい病巣は認められなかった. 新旧の脱髄巣の多くは軟膜に接する白質に認められ,脱髄巣形成には軟膜からの直接的な単球性細胞浸潤が関与している可能性も考えられた. 電顕的には脱髄巣内に髄鞘の中枢神経性ならびに末梢神経性の再生像が認められた. 末梢血Tリンパ球はEAEの症状出現とともに減少が認められた. しかし長期生存したものについての変動は明らかでなかった.
- 著者名
- 那須 義功
- 巻
- 8
- 号
- 4
- 頁
- 332-344
- DOI
- 10.11482/KMJ-J8(4)332