限局性悪性胸膜中皮腫の1例 63歳男性の限局性悪性胸膜中皮腫の症例を報告した.患者は自覚症状なく検診時の胸部Ⅹ線写真にて腫瘤を指摘され,急速な増大および気管支との関係が明らかでないことより肺肉腫の診断を受け摘出された.組織学的には混合型の悪性中皮腫で,摘出後再発し,浸潤性の局所症状と多発性遠隔転移を来たした.限局性悪性胸膜中皮腫の本邦報告例は1903年より1977年の間に17例あり,完全に腫瘤摘出を受けたもの以外は予後不良であった.