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Online edition:ISSN 2758-089X

血液中総ビタミンB1定量法の微量化への試み

従来から行なわれている血液中ビタミンB1定量法は,血液(全血)を1mlから5ml要し,定量操作も繁雑であり,かつ,測定に要する時間が長いという問題点があるため臨床から測定の要望があっても日常臨床化学検査としては敬遠され勝ちな検査の一つである.そこで,定量法の微量化と測定時間の短縮を目標に定量法の改良を試みた.測定原理に関してはチオクローム螢光法とp-アミノアセトフェノン法について吟味検討したが,操作手順は繁雑だが感度の点からチオクローム螢光法を用いることにした.測定操作については,ビタミンB1リン酸エステルのタカジアスターゼによる加水分解,小型カラムの使用,チオクローム抽出溶媒の種類と量およびビタミンB1標準液の作り方などを吟味し,血液中ビタミンB1の定量が全血0.1mlで測定できる術式に組み上げた.その結果,本法における同一血液による10本立重々測定でも変動係数CV=4.87%と日常検査法として使用し得るものとなった.勿論,測定に要する時間は,従来法の約70%に短縮できたことは論をまたない.なお,本法による健康人男女(20名)の血液ではx±2SDは3.8±1.3μg/dlであった.
著者名
佐藤 彰一
7
1
6-11
DOI
10.11482/KMJ-J7(1)6

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