急性妄想性うつ状態の先行したParkinson病の一例 70歳男子,妄想性うつ状態で発症し,内因性うつ病と診断されたが, 4カ月後にParkinson症状を発症したParkinson病を報告した.初期には三環抗うつ剤, L-Dopaの治療により軽快したが,両病態の再燃後は各種薬剤に反応せず, 2年後には仮面様顔貌,流涎,全身筋強直,振戦などを示し,進行したParkinson病の状態となり,嚥下性肺炎にて死亡した. Parkinson症状に抑うつ状態が先行し,内因性うつ病と診断された点で興味ある症例であったので報告する.また,内因性うつ病とParkinson病の近縁性について,主として病態生化学的観点から考察した.