h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

本邦におけるマダニ類人体寄生例の概観 - 文献的考察 - (6) ヒト寄生が稀な種類のマダニ刺症例

 1942~2005年に本邦で発生したヒト咬着が稀な種類のマダニ人体寄生例の報文を通覧して疫学的に検討した.症例数は23例(男性9,女性11,性別不明3)で,マダニの種類は6属12種(チマダニ属が5種,マダニ属が3種,ヒメダニ属・ウシマダニ属・カクマダニ属・コイタマダニ属が各1種)および種類不明1である.患者の都道府県別発生数では,富山が4例(17.4%)で最も多かった.患者は2~10月に発生しており,発生率は5月の22.2%をピークに,66.7%の患者が5~8月に集中していた.患者の年齢は,1~80歳で,40歳代が25.0%で最も多かった.また,患者の年齢と性別の関係は,9歳以下の女児・10歳代の男性・40歳代の女性が各15.0%で最も多かった.虫体の寄生部位は,眼瞼が15.0%で最も多く,次いで脇腹・腰部が各10.0%の順で,体幹部への寄生が45.0%(9例)を占めていた.患者がマダニの寄生を受けた場所は,高原キャンプ・登山・ハイキング・自宅周辺などであった.(平成22年3月2日受理)
著者名
沖野 哲也,他
36
2
121-126
DOI
10.11482/2010/36.121.2010.Igakukaishi_Okino_etal.pdf

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