h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

同胞に多発した十二指腸憩室の一家系

十二指腸憩室の成因については種々の検討がなされて来たが,定説はなく,また家族性因子についての報告もみられない.我々は同胞間に多発した十二指腸憩室の家系を経験した.この家系では検索可能であった7人姉妹のうち6症例,および母親の計7症例に十二指腸憩室がみられた.このうち3例は多発性憩室であり,また5例には傍乳頭憩室が認められた.経口的上部消化管X線検査は全例に行ない,注腸X線検査は3例に行なったが,他の消化管憩室は発見されなかった.胆嚢収縮不全は4例に認められたが,胆石は認められなかった.この報告から断定的な考察を行なうことはできないが,十二指腸に脆弱部を持つ症例が多発する家系が存在することが重要である.さらに症例を重ねて研究することによって十二指腸憩室の成因に遺伝的素因が関与するか否かを明らかにすることが必要である.
著者名
山本 俊, 他
6
3
99-105
DOI
10.11482/KMJ-J6(3)99

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