Online edition:ISSN 2758-089X
Varicella-Zoster Virus (VZV)の増殖に関する研究 III.ニグロシン染色法による VZVの簡単な力価測定法
Varicella-zoster virus (VZV)の簡単な力価測定法の確立のためにニグロシン染剤を利用したVZVフォーカス特異染色法を試み以下の結果を得た.1. VZVの感染によってフォーカス形成が認められた細胞シートを0.5% ニグロシン-PBS(+)で15分間染色を行なった. フォーカスは特異的に黒色に染まり,感染5日後肉眼的に計測可能となった.この染色法によるフォーカス数は光学顕微鏡下で計測したフォーカス数と一致した.2.接種に使用するVZV保有細胞を倍数的に希釈して新たな細胞に接種すると接種細胞数とそれによって出現したフォーカス数の間には明らかに比例関係が認められた.3.本法により計測されたフォーカス数は少なくとも9日間を必要とするブラック法で得られた値とよく一致した.以上の結果よりニグロシン液によるフォーカス染色法がVZVの感染価測定法として簡便で,きわめて有用であることが判明した.この方法を応用して経時的に感染細胞数の増加を調べた結果について述べた.
- 著者名
- 別所 敞子
- 巻
- 6
- 号
- 4
- 頁
- 183-191
- DOI
- 10.11482/KMJ-J6(3)183