h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

川崎医科大学耳鼻咽喉科におけるアレルギー性鼻炎の現況(第3報)~2004年から2008年の5年間の抗原感作率の現況~

 国民病と言われ始めているスギ花粉症であるが,本邦においてアレルギー疾患は増加してきているのが現状である.日本国内でみても気候や風土が異なるために,本邦のなかでも有病率が高い地域もあれば,北海道のようにスギが生息しにくいために有病率が低い地域もある.このためにスギ花粉の感作率も地域ごとに異なるために,各地域での疫学調査は重要である. 川崎医科大学耳鼻咽喉科ではアレルギー性鼻炎の患者に対して特異的IgE 抗体検査 (CAP-RAST)を施行し,その結果を報告してきた.そこで今回は2004年~2008年まで5年間に当院で行ったアレルギー抗原検査について報告する.対象は2004年1月1日~2008年12月31日の5年間に当院を受診したアレルギー性鼻炎を疑う症例に対してアレルギー抗原検査に同意した683例であった.最も感作率が高かったものはスギで59.3%あり,続いてハウスダスト(46.6%),ダニ(46.5%),ヒノキ(36.4%)であった.また年齢別の感作率ではハウスダストやダニ,動物などの通年性抗原では19歳以下の低年齢層の感作率が高かった.一方季節性抗原ではスギ,ヒノキが20歳~39歳に感作率が最も高かった.カモガヤが19歳以下で最も感作率が高かった.(平成22年3月6日受理)
著者名
兵 行義,他
36
2
107-113
DOI
10.11482/2010/36.107.2010.Igakukaishi_Hyo_etal.pdf

b_download