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顎関節脱臼により明らかになった下顎頭辺縁性骨腫の1例

 顎関節前方脱臼は主に大開口した時に下顎が関節結節を逸脱して前方に転位し,閉口不能になることにより起こるが,稀に顎関節脱臼を契機に下顎頭腫瘍が明らかになることもある.今回,その一例を経験したので概要を報告する.症例は40歳,男性.2005年6月初旬の夜に閉口不能になり,左顎関節前方脱臼の診断にて前医の外来で徒手整復を試みたが困難であった.さらに全身麻酔下に整復を試みるも不可能であったために,次の日に当科を紹介受診した.パノラマXPおよび3D-CTでは,左下顎頭は関節結節直下付近に位置し,左下顎頭前方に鳥の嘴様の骨腫瘤を認めた.MRI 検査では,左顎関節の上関節腔にjoint effusionを認めた.また,左関節円板後方肥厚部は軽度肥厚していたが,前方脱臼した下顎頭と関節円板の関係は正常であった.徒手整復を試みたが整復できず,同日に全身麻酔下で徒手整復を試みたが整復されなかった.さらにピボットスプリントを併用した顎間牽引療法やパンピング・マニピュレーションも効果はなかった.下顎頭の骨腫瘤が整復困難な原因と思われたために,6月8日に全身麻酔下に下顎頭部分切除術を行った.摘出物の病理組織検査では,骨腫の診断を得た.術後経過は良好で,その後は脱臼や咬合異常はなく経過良好である.(平成21 年12 月14 日受理)
著者名
畑 毅,他
36
1
65-70
DOI
10.11482/2010/36.065.2010.Igakukaishi_Hata_etal.pdf

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