亜急性小脳変性症とEaton-Lambert症候群を合併した肺癌の一臨床例 悪性腫瘍がその転移や直接侵襲ではなくて神経学的障害を起こすことは,古くから知られていた.このことは,癌の“remote effect ” と呼ばれている.54歳の男性が,歩行障害と構音障害を主訴に入院した.胸部X線写真で右肺門部に小腫瘤陰影を認め,喀痰細胞診で小細胞性未分化肺癌と診断された.CTスキャンを含めた神経学的検査及び臨床経過より小脳障害は,肺癌による亜急性小脳変性症と考えられる.また筋電図上にEaton-Lambert症候群が認められた.この様に肺癌に亜急性小脳変性症とEaton-Lambert症候群の両者が含併する症例は稀である.