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Online edition:ISSN 2758-089X

ステロイド抵抗性のループス関連蛋白漏出性胃腸症にシクロホスファミドパルス療法が有効であった1例

全身性エリテマトーデスは,全身の多臓器に炎症を起こし多彩な症状を引き起こす全身性自己免疫疾患である.消化器病変としては,ループス腸炎や腸間膜血管炎が多く,蛋白漏出性胃腸症を呈するのは稀である.我々はシクロホスファミドパルス療法が著効したループス関連蛋白漏出胃腸症の症例を経験した. 患者は20歳代女性.全身の浮腫と喉頭浮腫による呼吸困難感で当院に搬送され,血液検査で低アルブミン血症,抗核抗体陽性,抗SS-A 抗体陽性,低補体血症を認めた.99mTc 標識ヒト血清アルブミンによる消化管シンチグラフィにて,胃から小腸の広範囲で蛋白漏出が認められた.ループス関連蛋白漏出性胃腸症と診断し,ステロイドパルス療法を含め2週間以上のステロイド大量療法を行うも症状の改善を認めなかった.ステロイド治療に併用してシクロホスファミド700 mg の点滴を施行したところ,翌日より大量の尿排泄(5,000 ml/ 日以上)を認め,速やかに全身状態は改善した.ループス関連蛋白漏出性胃腸症は,ステロイドが奏効しない例も存在することを念頭に置き,免疫抑制薬を早期から併用することも重要である. doi:10.11482/KMJ-J43(1)9 (平成28年12月16日受理)
著者名
黒﨑奈美,他
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9-15
DOI
10.11482/KMJ-J43(1)9
掲載日
2017.3.1

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