Online edition:ISSN 2758-089X
全血比重による貧血スクリーニングの有効性について
全血比重による婦人の貧血スクリーニングの有効性を調べる為,1978年11月にK町婦人を対象に血液検査を行い,次の結果を得た.1) 血色素量の平均値は12.50g/100ml, 12g/100ml 未満の頻度27.1%であった.赤血球数の平均値は411.7×104/mm3,血色素量12g/100 ml 未満又は赤血球数380×104/mm3未満の頻度28.6%であった.2)血色素量では9.0~10.0g/100ml, ヘマトクリット値では28~32%にSkewnessが認められた.3)血色素量12g/100ml 未満を貧血とした場合,全血比重によるスクリーニングの敏感度は86.7%,特異度81.6%であった.血色素量12g/100ml 未満又は赤血球数380×104/mm3未満を貧血とした場合,全血比重によるスクリーニングの敏感度85.6%,特異度82.7 %であった.以上より,全血比重によるスクリーニングは血色素量,ヘマトクリット値に比べやや劣り,false negative rate 約14%, false positive rate 約18%が考えられる.
- 著者名
- 角南重夫, 他
- 巻
- 4
- 号
- 3
- 頁
- 154-162
- DOI
- 10.11482/KMJ-J4(3)154