肝,胆道,膵癌における paraneoplastic syndrome 98例の肝,胆道,膵癌におけるparaneoplastic syndromeの頻度を検討した.98例中92例は剖検にて診断を確定し,殘り6例は生検または臨床症状から診断された.癌に随伴した低血糖,高コレステロール血症,赤血球増多症,白血球増多症,好酸球増多症,血小板増多症および高フィブリノーゲン血症がいろいろな頻度で認められ,血小板増多症は各癌に共通して,かなりの頻度で認められた.また原発性肝癌においては,低血糖および高コレステロール血症はより若い年代に多く認められ,このことは若い年代の肝癌にはparaneoplastic syndromeを伴う傾向があることを示唆する.高脂血症を伴った肝細胞癌と高フィブリノーゲン血症および血小板増多を伴った総胆管癌各1例を呈示した.