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Online edition:ISSN 2758-089X

相関及び因子分析法による母子衛生指標の検討

都道府県における母子衛生指標の相互関係,意味等を明らかにするため, 1972~1974年における都道府県別後期乳児死亡率,後期新生児死亡率,早期新生児死亡率,後期死産比,自然死産比,低出生体重児割合について年次間及び男女間の相関を求め,同時に因子分析を行ない次の結果を得た. 1)都道府県別指標の1973年と1974年の間に有意の相関を認めたが,後期乳児死亡率と後期新生児死亡率の寄与率は小さかった. 2)1973年における早期新生児死亡率の男女の相関は有意(p<0.001)であったが,後期乳児死亡率及び後期新生児死亡率の男女の相関は有意でなかった. 3)3年間男女合計(1972~1974年)による各指標の相関は,早期新生児死亡率との場合を除き,いずれも有意であった. 4)因子分析の結果F1因子では早期新生児死亡率の因子負荷量が最も小さく,F2因子では早期新生児死亡率の因子負荷量が最も大きく,F3因子では後期死産比の因子負荷量が最も大きかった.5)F1,F2,F3の共通度は,早期新生児死亡率が最も小さく(h2=0.27),低出生体重児割合が0.45のほか全て0.5以上であった.以上の成績から,早期新生児死亡率は他の指標とは異なった関係にあり,ことに後期死産比及び自然死産比とは対象的である.また,後期乳児死亡率及び後期新生児死亡率は年次間,男女間の変動が大きいことが考えられる.
著者名
角南 重夫, 他
3
2
77-82
DOI
10.11482/KMJ-J3(2)77

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