Online edition:ISSN 2758-089X
結節性動脈周囲炎の神経病理学的研究
中枢神経症状を呈した結節性動脈周囲炎(PN)の1剖検例を中心に,PNの中枢神経障害について,臨床病理学的に検討した.同時に,我国で報告された中枢神経症状を呈するPN22例につき,文献的考察を行った.症例は,65歳女性で,高血圧,心窩部痛,上下肢関節痛,微熱,全身倦怠感等のため入院,その後,急激に昏睡と四肢弛緩性麻痺を呈し,第10入院日に死亡した.臨床的には,脳軟化症が疑われたが,剖検の結果,中枢神経系を含む全身諸臓器にPNの病変を認めた.中枢神経系では,脳実質に種々の病期の血管病変と新旧軟化巣の散在とを認めた.脳軟膜には,血管病変が認められず,又軟化巣は白質深部,基底核,視床で多彩な像を呈していた.1960年から14年間に,我国で発表された186例のPNのうち,中枢神経症状を呈した22例(12%)につき,臨床病理学的に検討し,その2,3について考察した.
- 著者名
- 吉村 正博, 他
- 巻
- 2
- 号
- 1
- 頁
- 01-13
- DOI
- 10.11482/KMJ-J2(1)1