h_kaishi
Online edition:ISSN 2758-089X

123Ⅰによる甲状腺機能の外部測定―主として基礎的検討について―

甲状腺のscintigraphyおよび摂取率の測定に広く用いられている131Ⅰは,個々の核医学施設で貯蔵可能な物理的半減期と体外測定に十分なγ線のエネルギーを持ち,入手しやすく容易に使用できる.しかし,体外診断に不必要なβ線が放出されるため患者の被曝線量が大きい.一方,123Ⅰは被曝線量の軽減およびイメージングにより適した低いγ線エネルギーを有する点から,甲状腺のin vivo検査の目的には理想的な核種である.しかし,123Ⅰはサイクロトロン生産の短半減期核種であるため,本邦では1975年の後半になって臨床的に使用が可能になった.核医学において123Ⅰが将来広く使用されることが予想されるため,123Ⅰと131Ⅰによる甲状腺scanと摂取率の測定について,臨床的評価とともに測定機器に対する有用性を比較検討した.123Ⅰのγ線スペクトルの測定では,数核種の混入が認められ,時間の経過とともに長半減期の混入核種がスペクトル上に明瞭に表われた. Line-spread function の測定およびPicker thyroid phantom のイメージの実験から, cameraのイメージにおいては,123Ⅰと99mTcはほぼ同程度の分解能を示した. scannerのイメージにおいては,123Ⅰには99mTc用の低エネルギーcollimatorが最も適しており,131Ⅰによるイメージと比較すると,分解能ではLine-spread function の半値幅で約2mm改善され感度においても約2倍大になった.臨床例における123Ⅰと131Ⅰによる甲状腺摂取率の比較では,同時投与では両者は良く一致し,相関係数0.95を得た.臨床例における123Ⅰの甲状腺イメージは,131Ⅰに比し,特に摂取率が低い場合に有効であると思われた.以上のことから,甲状腺の体外測定に123Ⅰの使用が望まれる.
著者名
村中 明, 他
2
3.4
158-165
DOI
10.11482/KMJ-J2(3.4)158

b_download